2026年がスタートし、年度末のまとめの時期になってまいりました。
🍃 ポピンズナーサリースクール東大本郷さくらです。
当園では、今年度より、
お子様たちの知的好奇心を育む独自の探求活動
「とうきょうすくわくプログラム」を実施しております。
今年度、2歳児クラス(10名)が
夢中になって取り組んでいるテーマは「音」です 。
胎児の頃からリズムを感じて育ってきたお子様たちが 、
身の回りの音を意識的に聴き、
その不思議さや面白さをどのように発見、表現していくのか、
専門講師とともに歩んだ様子を振り返り、
【すくわくプログラム報告】のシリーズでお伝えいたします。
第1弾は、夏から秋(7~9月)の3ヶ月間の様子です 。
お子様が主体的に動けるよう、
保育者は以下のような環境を整えてスタートしました。
【テーマ】:
身の回りの「音」への気づきと表現
【テーマ設定の背景】:
「音」やリズムは、子どもが胎児の時から
心地よさ・安心を感じながら成長している。
また成長していく過程の中で様々な「音」に出会い、
興味関心を深めおり、無意識にリズムを感じ表現をしている。
子どもが身の回りに溢れている「音」やリズムへの興味関心を
さらに深めていくため。
【子どもたちへの「問い」】:
「どんな音が聞こえる?」「どんな音がすき?」
【準備したもの】:
生活用品(タライ、ボウル、お玉)、自然物、絵の具、ピアノ
【場所と所要時間】:
園庭および保育室にて、
各回30分〜1時間程度(子どもの興味に合わせて調整)
2歳児クラスでは給食を挟む9:45~13:30とし、
活動後に担任と振り返り(30分程度)を実施。
【人的環境】:
音楽プログラム講師が月3回訪問。
🎵 はじまりは「水とタライ」のセッション(7月)
水遊びの後のお片付けの時間に、
ひっくり返したタライをお子様が叩き始めたことから
プログラムは始まりました。
【保育者の環境設定】
水遊びの最中も水の気持ちよさを感じながらも
水の音へ興味が広がるように見守っていましたが、
片付けの時間に、タライを楽器のように見立てて
叩き始めたお子様たちの様子をみて、
「発見の時間」と捉えて見守りました。

「せーの、ばーん!」と息を合わせ、水しぶきと共にはじける音。
この偶然の発見が、自分たちで音を作り出す喜びを知る一歩となりました。
👂 「聴く」という発見と、心への気づき(8月)
朝の会で賑やかに歌う中で、
「お耳が痛い」というお友だちの声から対話が始まりました。
これは大切な学びのチャンスと捉えました。
お子様たちは「音の大小」についても考え始めました。


「大きい声はダメなのかな?」「良い声ってどんな声だろう?」
保育者の問いかけに、悩みながら
「耳が痛いからダメ」と答えたり
「(大きい声)おもしろーい」と答えてくれました。
保育者がピアノの音の大小で弾き分けてみると、
耳をふさいだり、ピアノの小さな音に耳を澄ませて楽しみました。
【保育者間でのカンファレンスと気づき】
スタッフ間で、「『静かに』と制限するのではなく、
音の性質をどう伝えるか」を話し合いました。
ピアノで極小の音を出し「よく聴いてみてね」と促すと、
お子様たちは耳を澄ませ、「聴こえた!」と目を輝かせました。
「聴く」ことは「相手を想う」ことにも繋がっているのだ
という大きな気づきがありました。
🥣 素材が奏でる「不思議」を追いかけて(8-9月)
8月から9月にかけては、
家庭にある身近な生活用品を準備しました。
「音」をテーマに素材を準備したことを伝えると、
素材の違うボウルを叩き比べたり、逆さまにしてみたりと、
試行錯誤をしながらどんな音がするのか繰り返し試していました。
【準備したもの】
素材の違うボウル、ざる、おたまなど。


調理器具を使った探求では、お子様たちの集中力が一段と深まりました。
特におままごとで使う「ボール」と「ビーズ」の音に魅了されていました。
容器いっぱいに詰め込むと音が鳴らないけれど、
少し減らすと「シャカシャカ」と良い音が鳴る・・・。

ビーズの量で音が変わることに気づきました。
「たくさん入れると鳴らない、少なくするとよく鳴る」。
その仕組みに気づいた瞬間の集中した眼差しと、
こぼれた満面の笑みは、まさに探求者が「答え」を見つけた瞬間でした 。
この物理的な発見に立ち会えたことは、
保育者にとっても「教えるのではなく、環境が教える」ことの
大切さを再確認する機会となりました。
🎨 ピアノの旋律をキャンバスにのせて
9月は、音を色で表現する活動をおこないました。
【場所と環境】
大きな机に紙を広げ、ピアノの生演奏に合わせて描ける空間を設定。
【準備したもの】
ピアノ、模造紙、絵の具、筆、はけ、ローラー、絵の具用スタンプ

最初は、座ってお友だちの様子をうかがったり、
おそるおそる取り組むお子様たちでした。


保育者の声掛けで、ピアノの音やリズムに耳を傾け始めると、
筆を大きく動かしたり、リズムを刻んだり、足踏みしたり...
思い思いにダイナミックに表現を楽しみました。
🍳 「マイ・サウンド」~自分だけのお気に入りの音をみんなへ~
9月に入ると、音への探究はさらに個性を帯びてきました。
自分にとって一番心地よい音を探す時間です。
【場所と環境】
キッチン用品で好きなように音を出し、
音の違いの探究や好きな音探しをする。
お友だちの前でピアノに合わせて発表する場を設定。
【準備したもの】
家庭にあるキッチン用品(お鍋、お玉、木べら、マッシャー、ごますりなど)、ピアノ
探究心の強いお子様たちは、お鍋を叩く道具を次々に変え、
持ち方や叩く場所を工夫してその響きを真剣に聴き比べていました。


「どの音が好き?」と尋ねると、
迷わず「こっち!」と木べらや泡だて器を見せてくれました。
音の違いをしっかりと認識し、自分の「好き」を選択する姿に、
確かな感性の育ちを感じた瞬間でした。
最後には、自分が見つけたお気に入りの音を
ピアノの旋律に乗せて、お友だちの前で発表しました。

一人ひとりがこだわりの音の出し方を披露し、
それをみんなに聴いてもらう喜びで顔をほころばせる姿は、
音を通じて心がつながる素敵な音楽会となりました。
最初はただ「聞こえてくるもの」だった音が、
今では「自分たちで作り出し、誰かに届けるもの」へと
変化しています。
📋 保育者間と専門講師とのカンファレンスとここまでの振返り(7-9月)
活動後のカンファレンスでは、以下のような気づきが共有されました。
-
音から「見立て遊び」への発展:
音遊びをしながらもお料理をするような仕草が見られ、
音の探究が「生活の再現(おままごと)」へと
自然に繋がっていることが確認されました。
今後は自然物を組み合わせ、
さらにイメージを広げる環境設定を行っていきます。 -
自己肯定感の育ち:
自分の作った音を聴いてもらい、認められる経験が、
子どもたちの「自分を表現する自信」に直結していることが分かりました。 -
専門講師との視点共有:
講師と共に子どもの姿を捉えることで、
保育者も「音の物理的な違い」だけでなく、
「その音が子どもの心にどう響いているか」
という内面的な理解を深めることができました。
次回の報告(第2弾)では、秋の自然の中での更なる探求をお届けします。
どうぞお楽しみに。