園庭の桜のつぼみがふっくらと膨らみ、
春の訪れを告げる優しい風が吹き抜ける季節となりました🌸
ポピンズナーサリースクール東大本郷さくらです。
今年度取り組んできた、
お子様たちの知的好奇心を育む
「とうきょうすくわくプログラム」。
2歳児(ダファデルクラス)の10名が
「音」をテーマに探求を続けてきた1年間の集大成、
1~3月の様子をお伝えいたします。
今回のテーマは「表現と主体性」。
音が「聞こえるもの」から「自ら作り出し、伝えるもの」へと
変化していく感動的なプロセスをご覧ください。
🥁 エピソード1:想像が音に変わる瞬間(1月)
新年を迎え、園に届いた新しい楽器たち。
あえて名称や演奏方法は伝えず、
お子様たちの感性に委ねてみました。
【ねらい】:
未知の素材に対して想像力を働かせ、
自ら音を鳴らす方法を試行錯誤する。
【準備したもの】:
ウッドブロック・カシシ・ギロ・スリットドラム・
木魚・カバサ・キハーダなど打楽器
ルロイ・アンダーソン『シンコペーテッド・クロック』の音源 。
【環境設定】:
楽器の正解を教え込まない「待つ保育」「探究の見守り」を徹底し、
お子様が自分のペースで楽器と向き合える
静かな時間と空間を用意しました 。
「初めての楽器との出会い」
新しく届いた楽器のお披露目を行いました。
あえて楽器であることは伝えず
お子様たちの気づきを大切にしました。
お子様たちは、目の前で箱からでてきた楽器を見て、
すぐに楽器であることを理解していたようで、
「これどうやってならすのかな?」と言いながら
触れ始めました。

なにも伝えていないのに、
全員が楽器を大切に扱う姿が印象的でした。
「お餅つきの音がするかも!」
ウッドブロックに触れ、楽器を見つめていたお子様が、
ある発見をしました。
保育者が「これ何かな?」と問いかけると、
「これ、お餅つきの!(杵)」。
「どんな音がすると思う?」と聞くと、
「ぷにょん、ぷにょんって」と想像を膨らませました。


1月前半に行ったお餅つきの記憶が、
楽器の形とつながった瞬間です。
確認するように優しく音を鳴らす姿が見られました。

一つひとつの音を大切に探求する音色が重なり合うと、
室内は自然と合奏のような温かい雰囲気に。
教えられなくても、お友だちの音を聴き、
自分の音を重ねる楽しさを肌で感じていました 。
🎶 エピソード2:自ら選び、心を通わせる発表会(2~3月)
年度末の発表会に向けて、
お子様たちが主役となって楽器を選び、
表現を深めました。
【ねらい】:
好きな音色や楽器を使って、表現を楽しむ 。
【準備したもの】:
キハーダ、マラカス、ギロ、クラベス、
ウッドブロックなど多様な打楽器
【環境設定】:
成長を祝う会(発表会)で、好きな楽器を選び
演奏する楽しさをそのまま劇にできるように、
英語オペレッタ『どうぞのいす~楽器バージョン』を実施計画。
自分たちで考えた役(動物)、多様な楽器を用意し、
日々の気分で変わる好きな役(動物)、
楽器を好きなように選べるようにし、
一人ひとりの「好き」を尊重する環境を整えました 。
「これがいい!」に込められた意思
楽器選びでは、キハーダのように力が必要な楽器や、
ずっしりと重みのあるマラカスが人気でした。
お子様たちは「かっこいい音が出る」「この重さが面白い」
といった自分なりの基準で、主体的に選択していきます 。

重い楽器もしっかりと正しい持ち方で構え、
「人に聞かせたい」という意欲を持って鳴らす姿に、
1年間の大きな成長を感じました 。


🕺 エピソード3:身体全体で奏でるハーモニー
英語講師や音楽講師のウクレレやピアノに合わせた
身体表現にも取り組みました。
【ねらい】:
音楽を聴いて感じたイメージを、
身体の動きや表情で表現する喜びを知る 。
【準備したもの】:
英語講師・音楽講師による生演奏(ウクレレ・ピアノ)。
【環境設定】:
英語オペレッタ『どうぞのいす~楽器バージョン』
合奏:『山の音楽家』
間違いのない「自由な表現」を肯定し、
講師や保育者も一緒に動くことで、
安心して自分を解放できる雰囲気を作りました 。
「ドキドキ!みてもらう喜び・聴いてもらう感動体験」
成長を祝う会(発表会)の練習が進み、
直前のリハーサルで、観客いることに緊張し
「でたくない」というお子様がいました。
本人に気持ちを聞き、保育者間で話し合いました。
初めから緊張をほぐせるよう講師も一緒に舞台にでる予定でしたが、
担任保育者も動物になりきって一緒に出ることにしました。
舞台に出ることに不安を感じていたお子様は
安心したようで、出ることを決意していました。


カシータという楽器を演奏したお子様は、
個性的な音が出る楽器で、音が鳴るたびに観客から反応があり、
それを見て一層楽しそうに演奏していました。

その姿にさらに観客から好反応があるという相乗効果で、
いつもより一層積極的に合奏に参加していました。
たくさんの観客がいる発表会は、想像以上に緊張します。
いつもなら見つけたらすぐに駆け寄って
すぐ側にいるはずの保護者が見ているのです。
そばに行きたい気持ちをぐっとこらえて、
自分の姿(勇姿)を見てもらうことができて、
緊張をを乗り越えて「面白い!」「楽しい!」に変わっていき、
お子様たちの表情が自信に満ち溢れていく姿がみられました。

音楽に合わせて動くことを楽しむだけでなく、
「人に見られている」ことを意識して
誇らしげにポーズを決めるお子様も。
内面の育ちが、生き生きとした表現となって溢れ出していました。
📝 保育の視点:主体性を育む「環境の魔法」
今回の実践を通じて、保育者として改めて実感した学びを共有します。
「教え込まない」価値:
楽器の扱い方を細かく説明しなくても、
適切な環境があればお子様たちは自ら大切に扱い、
試行錯誤の中から学び取っていきます 。
「禁止」より「探求」を:
安全を確保した上で「やってみたい」を保障することが、
思考力や判断力の基盤となります 。
大人が一緒に不思議がる:
答えを提示するのではなく、お子様と一緒に
「どんな音がするかな?」と面白がることが、
知的好奇心の扉を開く鍵になります 。
耳を澄ませ、音を楽しみ、仲間と響き合った1年間。
お子様たちの感性は、この春、また新しい世界へと羽ばたいていきます。
卒業・進級を迎えるお子様たちの未来が、
輝かしい音色で満たされますように。
今年度のすくわくプログラムへのご理解とご協力、
誠にありがとうございました。